ミニマリストを目指すヅカオタの修行の日々

ヅカオタがミニマリストになるべく奮闘する毎日をつづります

舞音 雑感その2(出演者について書くつもりが演出へのつっこみでまた字数を費やしてしまった)

舞音 雑感第2弾です。 出演者の問題ではまったくなく、演出面で思ったことをつっこみまくっています。

わたし的あらすじ(だから役名で言いなさいって)

優秀なフランス海軍の将校であるまさおさま。インドシナへ配属され、クラブで見かけた美しい踊り子・ちゃぴに一目惚れ。情熱的な一夜を過ごすも(しっかり植田イズム)、翌朝兄のたまきちが迎えに来て、ちゃぴが金の亡者であり、本当にまさおさんのことを愛していないと告げる。まさおさんは逆上し、ちゃぴに強烈なビンタをくらわして追い出す。思いを断ち切ったはずが、ちゃぴのことを忘れられないまさおさん。数ヵ月後、許嫁で総督の娘であるわかばちゃんと再会したクラブで、ちゃぴの姿を目にしてしまう。ちゃぴへの思いを再確認するまさおさま。破滅への道が始まる。誰も望まない僻地への勤務を希望し、親友・カチャの静止を聞かずにちゃぴとほとんど駆け落ちし、豪奢な生活を送るための悪事に身を染め出す。

インドシナ独立のための活動が行われていると調査にきた警察長官マギー様。賭博屋の丁稚が秘密裏に反政府活動を行っていることに気がついたたまきちだが、スパイであり賭博屋の女主人に騙され殺された挙句、ちゃぴが濡れ衣を着せられてしまう。ちゃぴの召使・うみちゃんもグルだったのだ。牢獄に繋がれるちゃぴ。まさおさんはちゃぴへの愛を貫くため、軍事法廷にかけられることを拒み、軍を辞職することを決意する。ハロン湾へ囚人が移送される際にかけつけたところ、その横にはあの革命分子たちが。すったもんだの末、インドシナの民謡を唱和する面々。駆けつけた警察に撃たれるちゃぴ。マギー様たちをかわしてハロン湾への船に乗る(逃亡?)ことができた革命分子とまさちゃぴだが、ちゃぴはまさおの腕に抱かれたまま息絶えてしまう。何と、それまで影子としてまさおの心を身振りで表していたみやるりが、船頭に身をやつし、いきなり語りだしたのだった!

 ※主観に満ち溢れたあらすじのため、実際はぜひ劇場でお確かめください

みやるりに歌わせないとかもったいない。まるで解せない

シャルルの分身であり、どうやら彼の心を身振りで表現しているらしいみやるり。この存在って極めて重要なはずなのに、結構自由に動き回って本体であるまさおさまと一体感がないのが非常に気になる。この人誰?という疑問が消えなかった。役名ももうひとりのシャルルって…安直な割にはただの影子で、二人似てないし、死んだ双子の弟かと思ったとは、友人の談(非ヅカオタ・もちろん初見)。

船頭に扮していたのは悪くないと思ったけど、突然まさおに向かって語りだす様は、愛と革命の詞のデジャブかと思ったね。あれもるなっちとゆずかれーくんが最後何だか語ってたよね。それまで踊りまくっていたのに、そこだけ台詞があって何だか物語の締めみたいな扱いになって。何だか野暮ったいことこのうえないんだけどね。

みやるりはるなっちとゆずかれーくんのように踊りまくるというよりも、ちょっとした振りがメイン。ガンガン踊らせないなら、せめてシャルルの心の声として、ストーリーテラーのように歌いまくらせて欲しかったなぁ。その代わり踊らない・ボディランゲージは最小限にとどめる。

冒頭すぐ、まさかのみやるり台詞・歌なしに気がついた時に、愛革の悪夢がよぎったよね。

みやるりに歌わせないなんて、もったいないお化けが出てきても知らないよ。

 

合体+革命+白い布に抱かれて天に召される=植田イズム

印象的な白い衣装が美しい、まさおとちゃぴが一夜を過ごすシーン。ダイスケ先生の熱いショーならまだしも、ここで比喩的な合体シーンをがっつり入れてくるあたり、植田先生はよっぽど男女の愛に対しておこだわりがあるのですかね。愛革も、似たようなシーンがあったような(退屈で忘れてしまった)。踊り子と軍人の破滅的な恋なのに、このシーンにより美しく昇華されていると思えば、「宝塚」っぽいと言えなくもないのですが、別になくてもよくない…?ここで表現される事柄にしては、「手ぬるーい!」(byマギー様)わけで、もっと非現実的なダンスにするとかどうですか。このシーン、天蓋付きベッドの上できゃっきゃうふふしてるわけですからね(笑)。ある意味でやっぱり生々しいよね。

そして革命を目指すグループが話のキモを握る展開となり、たまきちの殺害によりちゃぴに濡れ衣を着せたりと、風雲急を告げる。捕えられたちゃぴと革命家たちがマギー様に囲まれたところで、観客として悦に入ることができる民謡唱和のシーンがあったのはまだましでした。愛革では、みりおさまの役と革命派との温度感がちぐはぐで(唱和のシーンでみりおさま悩んでる)、蘭寿さん何もしないし、何だか熱いのはみつるきゅんぐらいで、ガーッと気分が上がるシーンがなかった(だから退屈)。だいもんはめずらしくキラキラ公爵で眼福だったけど。

それからまさお・ちゃぴ・みやるりが乗った船が川を行くシーン、白い布が舞台上から垂れ、白い妖精みたいな人たちが佇みはじめて、三途の川のようでちゃぴの行く末が暗示されているのですが、ここでも処刑される直前の蘭寿さんと自ら囚人と身代わりした蘭はなさんとが階段を上がって行くシーンがフラッシュバックしてしまい、ラストまでワンパターンwだと思わずにいられませんでした。

身分違いの恋+革命+天に召されるヒロイン(もしくは主役とヒロイン)。植田スタイル、ぶれませんね…。

ただ、愛革は蘭寿さんが「何にもしない詩人」みたいな描かれ方をしていて、スターのことまったくわかってないやんけ!オラオラ系の蘭寿さんになぜガツガツ行かせない!とちょっとした憤怒感がありましたが、今回はまさおさんのキャラを殺してはいなかったと思われます。私ね、まさおさんは芝居に熱量が感じられない、いい意味で(も悪い意味でも)冷めている方だと思うのです。前回触れたように、「それがまさおさん」とやり切ってしまうことに、まさおさんのスター性が突き詰められていると。こう思えば、全て一本調子の台詞回しも、気にならなくなってくるものです。

軍人を辞職してちゃぴも死んでしまって、報われないで終わってしまうのは、トップが演じる役にしては微妙な気もしますが。結局、まさおは何がしたかったの?と夢からさめてしまった。

ちゃぴの役は、アオザイ姿が可憐でした。悪い部分と純粋な部分が使い分けされきっていない感も受けましたが、多分奔放で、金にも男にも全てに全力で、おまけに情が深いのでしょう。特に、まさおと一夜を過ごした後に来ている真っ赤なアオザイがかわいい。

この公演、衣装と装置が全体の印象を抜群によくしている

アジアの民族衣装は、宝塚の演目ではそこまでメジャーではないでしょうし、裾がひらひらしていることもあって結構舞台映えしますね。うまく使えばかなり効果的だと思います。とくに、マダムチャンのスリットとか眼福(新公でうみちゃんがこれ着るの?)。だからこそのインドシナを連想させる特有の振りが必要になってくるわけですね。抑えた、力強い振りが雰囲気にあっていてよかったです。もっと奇をてらったものになるかと思っていましたが、印象に残りました。

装置も凝っていて、アジアの混沌とした雑多な感じを一切出さずに、ベトナムの喧騒や川、ギラギラしたクラブの様子を美しく無駄なくかつ比喩的に表現し、大変よかったです。植田先生の装置は毎回美しいと思う。特に今回はごてごて装飾していくのではなく、引き算の美学が背景にあるように全てのシーンで思いました。出来損ないのミス・サイゴンみたいな印象になりがちなところを、この装置でぐっと引き締めてくれたと思います。今回、豪華な面々に支えられてますね~。

 また、字数を費やしてしまったので、その3に続きます。